少年は如何にしてエロ本を隠すのか
少年Aは友人達に誘われ、初めて「エロ本拾い」に出かけます。
一昔前の男の子なら誰しも経験のあるこのイベントで、
なんとか友人関係や自分の地位(男の子特有の「見栄」)を守りたい。
そして何より今まで見たことも聞いたこともないような
とんでもなくエッチなものがあるのではないと、
ワクワクした気持ちで散策を開始しました。
数十分、いや、小一時間ほど経った頃でしょうか。
友人の一人がエッチな本を見つけました。
雨水に汚れほぼ中身の見れないそれは「ハズレ」でしたが、
これを歯切りにまた一人、また一人と、次々に「アタリ」を発見して行きました。
しかし少年Aは、未だ一つも、ハズレすら見つかっておりません。
ワクワクしていた気持ちは、焦りに変わっていました。
余裕に振る舞いつつ内心、必死に探しますが、時は残酷です。
夕暮れはあっという間に訪れました。
もうお開きにしよう、と、各自の発見したモノを一ヶ所に集めます。
少年Aは内心ホッとしていました。
雑に集められた本の山は、誰がどれを、誰が何冊見つけたかのかもわからないような状態になったからです。もし誰かが一つも見つけていなかったとしても、決して責め立てるようなイベントではありませんが、少年Aは見つけられなかったことを敢えて話したりはしませんでした。
そして、各自欲しい物を持ち帰ろう、という流れになりました。
少年Aはこういった類いの本は見たことが無かったため、どれが良いのかもわかりません。
余った本の中から、「熟女」と書いてあるものを選びました。
「熟」という文字は、エッチなことのプロフェッショナルなのだと思ったからです。
家に帰り、自室で中身を確認したところ、衝撃を受けました。
母親よりも年上のおばちゃんがポーズを決めている写真から始まりました。
何故こんな人が紹介されているのかわからないまま、希望の「熟女」を探しページを進めます。
しかし、最後まで「熟女」が登場することはなく、若干のトラウマヌードを見つつ、巻末を迎えました。
すぐにこの本を捨てたい衝動に駆られましたが、時既に遅し。
次に捨てるチャンスの訪れる休日まで、この部屋のどこかに仕舞って置かなければなりません。
クローゼットは毎日親が服を出し入れするし、勉強机の中身も、いつ兄弟が文房具を勝手に借りていくのかわかりません。ベットの下にあるケースの、その更に奥に隠そうかと思いましたが、やはり外に落ちていた本、汚いです。
悩みに悩んだ挙句、少年Aは「旅行カバン」の中に本を隠しました。
誰かが発見してしまう可能性が一番低く、実際これは成功でした。
翌日、恥を忍んで友人に訪ねました。
少年A「熟女って何?」
友人「熟した女ってことだよ。」
少年A「熟した?果物とかの熟・・(ああ、なるほどね)」
少年A「マジか。」
さて。前置きがかなり長くなりましたが、時はインターネット時代。
少年の心を惑わすエッチな写真も、デジタル画像の時代になりました。
昔と違い、PC内を検索したらすぐに出てきてしまいます。
いったい何処に隠したら良いのでしょうか。
便利なツールは無いか、便利なアプリはないか。
「そうだ、自分で作ろう!」
そう、少年は、プログラマーになったのです。
こうしてスーパープログラマーを目指す男が一人、誕生しました。